スイッチング電源のMLCC入力/出力コンデンサのハイブリッドコンデンサへの置き換え事例

スイッチング電源回路の入力には、一般にCINと呼ばれる入力コンデンサが必要です。入力コンデンサは、パワートランジスタのスイッチングによる放電と入力電源からの充電によるリプル電流や、入力電圧の変動によるリプル電流などを許容し入力電圧を安定に保ち、これらに起因するノイズを低減する役割を持っています。したがって、入力コンデンサにはスイッチング電流に対応するリプル電流定格、発熱も含めた温度定格、低ESR(等価直列抵抗)などが要求され、一般的にMLCCやアルミ電解コンデンサなどが使用されています。特に小型サイズのMLCCは、ESR特性、ESL(等価直列インダクタンス)特性に優れることから入力コンデンサとして使用されていますが、電源回路の周波数特性によってはMLCCからハイブリッドコンデンサへの置き換えが可能です。

ハイブリッドコンデンサは、電解質に導電性高分子と電解液を融合させたコンデンサです。導電性高分子と電解液の両方の優れた特性を兼ね備え、大容量、低ESR、低漏れ電流、高信頼が特長です。

・MLCC置き換え事例:車載ECU(Body制御ユニット)内の降圧DC/DCコンバータ

車載ECU(Body制御ユニット)内の降圧DC/DCコンバータ graph
横スクロール可能です

スイッチング電源回路の入力コンデンサのMLCCを、ハイブリッドコンデンサで置き換えた事例を示します。この降圧DC/DCコンバータのスイッチング周波数は100kHz~300kHzで、入力コンデンサにはMLCCとしては比較的静電容量が大きい50V 10µF(3225mm)が2個使用されていました。これを、50V 22µF(Φ6.3×5.8mm)のハイブリッドコンデンサ1個で置き換えることができました。

MLCC 50V 10uF x 2pcs (3.2x2.5mm) graph
MLCC
50V 10uF x 2pcs
(3.2x2.5mm)
ハイブリッドコンデンサ 50V 22uF x 1pc (Φ6.3x5.8mm) graph
ハイブリッドコンデンサ
50V 22uF x 1pc
(Φ6.3x5.8mm)
横スクロール可能です

この置き換えができたのは、右上の周波数特性のグラフが示すように、この降圧DC/DCコンバータのスイッチング周波数である100kHz~300kHzにおいて、このハイブリッドコンデンサのインピーダンスが元のMLCCのインピーダンスと同等以下であるためです。

しかしながら、高周波領域ではMLCCのほうのインピーダンスが低く、高周波ノイズの削減効果はより高いことがグラフから推測されます。もし、実際に高周波ノイズが問題になるようであれば、汎用的にデカップリングなどに使われる小容量のMLCCを追加することで、高周波領域のインピーダンス低減を図ることが可能です。

右下のグラフは、ハイブリッドコンデンサに0.1µFと4.7µFのMLCCを1個ずつ追加した周波数特性で、高周波領域のインピーダンスが改善されていることがわかります。

周波数特性比較 ハイブリッド vs. MLCC

周波数特性比較 ハイブリッドvs.MLCCのグラフimg


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